栃木・高原山

2021年11月02日

久しぶりに北海道外へ行く機会があり、以前から訪れたかった、栃木県の高原山へ。いつもながら、山頂は目指さない森の散策。天気がよく幸運です。

高原山のピークのひとつである釈迦ケ岳(標高1795m)の登山口。ここの標高は820m。紅葉の時期ですが、メインの登山道ではないためか、駐車場にくるまはなくとても静かでした。最初はスギの人工林の中を登っていきます。

すぐに広葉樹林に代わりました。ミズナラとコナラ。

クリもいました。しばらくは二次林ふうな林相です。

リョウブ。アブラチャン。

ヤブデマリ。コアジサイ。

ムラサキシキブ。

地図にも載っている守子神社に到達。周囲にはスギが植わっていました。広葉樹と混じって、よい雰囲気です。高原山は成層火山です。広い緩斜面のため古くから人の利用があり、軍馬の放牧に使われたり伐採された個所も多かったものの、上流域にあるこの一帯は森林が保全されたようです。

みごとな広葉樹林が登山道の両側に広がってきました。

イヌブナとブナ。

ここは国有林の保護林になっていますが、名称は「尚人沢(しょうじんさわ)上流部イヌブナ自然林」となっていて、イヌブナがいわば「主役」です。イヌブナの北限は岩手県とされ、また、日本海側には 分布していません。関東地方の山地には多くみられます。

イヌブナはしばしば株立ちし、ブナに比べて樹皮が黒っぽいのが特徴です、、、が、私は馴染みが薄いので、枝葉を見ないとわかりません。冬芽が長細いことも見分けのポイント。

コース沿いには、ブナ、イヌブナともに、大径木がずっと みられました。

林床はミヤコザサ。膝下までの高さなので、見通しがよく清々しいです。

落葉がかなり進んでいたものの、亜高木ー低木層の紅葉が見ごろでした。その主役は、多様なカエデ類。

ハウチワカエデ。

コハウチワカエデ。色合いはさまざま。

ヒナウチワカエデ、オオイタヤメイゲツ。

ヤマモミジ、ウリハダカエデ。

エンコウカエデ、カジカエデ。

チドリノキ。

地面も色鮮やかでした。

もう1グループ、この時期は脇役ですが、ツツジ類もこの山のシンボルです。

ムラサキヤシオ、シロヤシオ。花の時期にも来てみたいと思います

サラサドウダン、トウゴクミツバツツジ。

ヤマツツジ。

シデ類も多くみられました。クマシデ、サワシバ。

アカシデ。

標高が高くなるにつれ、少しずつ林相が変わっていきます。

標高1400m付近。次第に優占度を増した、ダケカンバ。今日はこのあたりで別の道から引き返しました。

葉が少ないので実も目立ちました。ナナカマド、アオハダ。

針葉樹の大径木をみつけました。近寄ってみると、、、

トウヒ属の希少種、ハリモミでした。分布は、中部山岳周辺と栃木北部で、高原山は著名な自生地です。保護林は山頂の北側に設定されており、南麓のこのコースでみられるのか不確かでしたが、出会えて心弾みました。

やがて、標高1200mの個所に群生地がありました。枯れ沢に沿って、100mくらい?の規模。直径80cmほどの大径木も。

多くの木は、岩を噛んで生育しています。おそらく過去に斜面崩壊があった際に成立した林分なのでしょう。

そのため、世代交代 は時間的に不連続にしか起こらないようです。小径木は局所的にしかみつけられませんでした。

歩き回って、ようやくみつけた稚樹。左のは樹頂にしか葉が残っていません。次世代に育つことができるでしょうか。。。

山頂付近の群落ではウラジロモミと混交し、またコメツガとの混交林が多いようですが、ここでは局所的な純林にみえました。

しばらく堪能しました。 

ふたたび広葉樹林。一部踏み跡が不明瞭でしたが、迷う地形ではありません。

ケヤキ。

ハリギリ。ホオノキ。

ウダイカンバ。キハダ。あまり多くありませんでした。

エゴノキ、ハクウンボク。

アズキナシ、ウラジロノキ。

ウワミズザクラ。シラキ。

紅葉がみごとで、最後まで飽きませんでした。

約4時間で登山口に戻りました。 入口のスギ人工林。帰路よく見ると、実はアカマツが混交していました。最初から混植したようです。なかなかよい組み合わせに思えました。


鷲子山

その後、午後はくるまを走らせ、茨城県境の鷲子山(とりのこやま)、標高460mへ。くるまでアクセスできる山頂には神社があります。 参拝後、本殿の脇のご神木。

神社の裏は原生林。スギの大木が多く、みごと。

カヤ。大木には、樹齢600年の看板がありました。この森には暖温帯の樹種も多く、冷温帯との移行帯の特徴がよくみられるそう。モミも多いと記述がありましたが、歩道沿いには出会えませんでした。

ウラジロガシ。

神域を離れたところに足を延ばしました。ここにヤマトアオダモの人工林があります。。。が一目では存在がよくわかりません。

下層が茂り、樹冠の視認に時間がかかりました。 1911年に植栽とのことなので林齢110年。

直径は20-30cmほどで、成績がよいとは言えませんが、、、広葉樹の人工林自体が多くない中、この古さは貴重です。

神社に戻りました。 門前( 道の左が栃木県、右が茨城県だそう)は思ったより賑やかでしたが、16時となり日も陰り、店じまいの模様でした。