上川・浮島湿原

2021年10月09日

仕事でよく訪れる上川町。大雪山の原生林を含め、さまざまな森を見ることができます。秋晴れの一日、標高域の異なる3箇所を目指してみました。

士別から滝ノ上を経由して、浮島湿原の登山口へ。数台車がとまっていました。

チシマザサが繁茂する疎林の中、登山道がつけられています。湿原まで約1.5kmの道のりですが、標高差はわずか40m。足が強くない人でも歩けそうな道です。

ダケカンバ。疎林なので、思い切り樹冠を伸ばしていました。

ナナカマド。葉はすっかり落ちていましたが、実が目立ち、存在感がありました。研究林の高標高域もダケカンバ、ナナカマドが多い疎林があるので、共通しているのですが、、、

違いは、こちらには針葉樹が多いこと。

トドマツ、アカエゾマツ。直径70cmほどの大径木も散在していました。

倒木更新も豊富でした。

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30分ほどで湿原に到着。標高は870m。空が広いです。

湿原の広さは25ヘクタール。静かな歩道が周回して続いていました。

多様な景色が展開します。

湿原内のアカエゾマツの樹高は10mほどに達していました。以前に訪れた美深の松山湿原よりはだいぶ高く育っています。ただ、ときに着葉が少なく、一見、アカマツのような樹形になっている木も目立ちました。

アカエゾマツは湿原内にパッチ状に分布していました。「浮島湿原」の名は池塘の様子から名づけられたようですが、アカエゾマツが島を形成しているようにも見えます。

パッチの内部。林床はアカミノイヌツゲが優占。

赤く熟していました。

イソツツジ。

パッチの外にもアカエゾマツの更新が見られました。どのようなプロセスを経て定着しているのか気になります。小さな稚樹も相当な樹齢であると考えられます。

湿原縁辺のアカエゾマツ。

周辺にはダケカンバ。

ゆっくりとした時間。

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帰りみちもナナカマドをたのしみました。

オガラバナ。葉が残っていたものはごくわずか。実。

コシアブラ。ごく小さい個体しか見かけませんでしたが、この標高域に出てくるのは意外でした。

約2時間で登山口に戻りました。


石北峠

広い上川町内、くるまを走らせて標高1000mの石北峠付近へ。すっかり針葉樹林の趣になります。ダケカンバとの2色の景色。

道北の天塩山地には、このような亜高山帯針葉樹林がありません。積雪が多いことが原因と考えられています。

国道の旧道からひと登りした尾根上。大径木のある林。

エゾマツ、アカエゾマツ、トドマツ。

倒木が目立ちました。これも発達した森林の特徴です。

エゾノバッコヤナギ、ケヤマハンノキ。

ダケカンバも落葉が進んでいました。すっかり葉を落としたドロノキ。


上川町 中山

国道をずっと下って、標高400mの上川町の市街地。裏山にとてもよい広葉樹林あるのを教えてもらっていました。しばし散策。

ミズナラ。直径60cm近い大径木が育っています。最大サイズがそろっているので、過去に抜き伐りが行われたのかもしれません。

シナノキ。

ウダイカンバ。斜面上部に多くありました。

イタヤカエデ。

アズキナシ、ハシドイ。

ハウチワカエデ。

紅葉をたのしみました。


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最後に「大雪森のガーデン」へ、前日の雪が残る大雪の山並を見に。

時刻は17時。10月になり日が短くなりました。