飛騨

2019年11月29日

広葉樹利用の関係で飛騨を訪れました。2日間、山と街を案内していただきました。

11月27日 前日は滋賀県でシンポジウムに参加。北海道立林業試験場の大野さんと岐阜に移動。美濃市にある岐阜県森林研究所を訪れました。広葉樹に関して打ち合わせ。
その後、森林研の渡邉さんと大洞さんに現地案内をしてもらいました。東海北陸自動車道で北へ。車中、有用広葉樹だけではなく、ヒノキやイチイ、コウゾなどいろいろ話を伺いました。 

昼食後、山へ。やってきたのは高山氏荘川町六厩(むまや)にある荘川総合実験林。1985年に設定された広葉樹の更新、造林、保育に関する130ヘクタールの試験地です。現在は、森林研究所と岐阜大学が管理しているそうです。すでに紅葉の時期は終わり、景色は少し寂しいですが、学生のころから論文で名を知るサイトに来たことは感慨深いです。 

さまざまな試験区がある中で、有用広葉樹人工林造成区へ。1985年に、この地域の代表的な有用広葉樹3種が植栽(4000本/ha)された箇所です。 

まずは、カツラ。植栽後、2年目に改植、また、5年間下刈りと雪起こしを実施し、18年生で間伐をしているとのこと。 手をかけた甲斐があり、34年生としては良好な成績といえます。 

次はケヤキ。こちらも成林していますが、ケヤキ以外の天然更新木が多い印象です。下刈りを1回に留めた粗放管理区では、ケヤキの上層木はほとんどない状況とのことです。 天然更新したミズキ。

斜面の一番上はクリです。17年生時に冠雪害があったようですが、よく育っていました。 

100年生以上となる広葉樹二次林。ミズナラ、シナノ木、ハリギリ、イタヤカエデなどが目立ちました。 林床はクマイザサ。更新木は少ないです 。

大きなミズナラがありました。多くのミズナラに熊ダナができていました。 

皆伐後の天然更新試験地。1985年に広葉樹林を皆伐後、4年生時点で棒がした稚樹を刈り出し、さらに、16年生で除伐を行った箇所です。ホオノキが目立ちました。 

そしてミズキ。大きい個体がありました。広葉樹が、ゆっくりながら育っている様子がわかり、樹種ごとの傾向も勉強になりました。渡邊さん、大洞さん、有難うございました。 

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11月28日 この日は「川下」。午前は飛騨市へ。広葉樹の利用を進めていて、道北の中川町と「姉妹森」提携をしている縁のある自治体です。 

飛騨市役所の竹田さんに、製材工場や、町中の旧家を改装したヒダクマ(株式会社飛騨の森で熊は踊る)のFabカフェを案内していただきました。 テクノロジーを活用して地元産材の価値を上げ、森と都市との循環を図るとりくみ、とても参考になりました。 

午後は高山市清見町のオークヴィレッジさんへ。だいぶ以前に訪れたことがありますが、そのときは仕事で来ることになるとは思いもしませんでした。7月に研究林に来ていただいた佐々木さんと再会。ご案内いただきました。 

製材から加工、組み立て、塗り、製品までじっくり見せていただき、高品質のものづくりに圧倒されました。樹種の「適材適所」、知らないことばかりです。ここでも、森との連携についていろいろ議論できました。 

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11月29日 最後に、岐阜に来たからには見たかったヒノキ林に立ち寄りました。 

訪れたのは、下呂市小坂町にある赤沼田(あかんた)の「天保林」。天領であったこの地では、江戸時代、しばしば森林資源保護のために植樹令が出されたそうです。この場所は、天保13-14(1842-43)年に、約4000本の山引きヒノキとサワラの山引き苗が植えられたという歴史です。

現在の樹齢は176-177年ということになります。明治大正期には間伐が行われ、その後は手付かずとのこと。よく残ったと思います。樹皮が美しいです。 

この森のシンボル「天保の大ヒノキ」。直径1m、樹高36m。 

広葉樹の大径木も混交していました。イヌザクラ。ケヤキ。 

里にはまだ紅葉が残っていました。