真鶴・魚つき保安林

2020年01月02日

お正月。穏やかな一日だったので、昼から思い立って真鶴まで出かけました。 実家から、1時間弱の距離です。

ちょうどバスの便がなく、徒歩で。20分ほど歩くと目的地の森が見えてきました「魚付き保安林」としてよく知られています。

この林は「人工林」です。樹齢は200-300年。記録では、江戸時代初期(1672年)に、小田原藩に割り当てられた15万本のクロマツの苗木の一部が、当時カヤ原だった岬に3年かけて植えられたのだそうです。

現在の林相は、常緑広葉樹が多く混交しています。マツが成林した後に侵入したのでしょうか。

クスノキ。直径70cmほどの大径木が見られます。明治維新後、御領林となり、クロマツの松脂やクスノキの樟脳の採取のために管理されたのだそうです。松脂採取は生木の幹を傷つけて採取したのでしょうが、樟脳は伐採して用いたはずです(小径木中心に利用した?)。よく資源管理して今日見事な林が残ったと思います。 

松脂、樟脳の資源利用はいつ頃まで行われていたのでしょうか。松脂は戦中を除いては輸入品に頼ることが多かったようです。また、樟脳の利用は、1920年代には化学合成品に押されるようになったといいます(政府の専売は1962年まで)。利用が少なくなる中、次第に階層構造が発達してきたということなのかもしれません。 

御領林だったためか「お林」と呼ばれています。林内には歩道が整備されていました。クスノキの独特な樹形は、小学生で遠足に来た際、印象に残っています。 

クスノキのほか、スダジイ、タブノキ、シロダモなど。

魚付き保安林の指定は1904年(明治37年)。日本で最も古いものの一つではないかと思います。