岩国城山 雨の中

2023年04月15日

著名な木造アーチ橋「錦帯橋」。岩国の市街地からこの橋をわたると、比高200ー300mほどの急峻な山が錦川の蛇行に突き出すようにそびえ立っています。山頂に岩国城があるこの「城山」。瀬戸内沿岸に残る貴重な照葉樹林を散策してみました。

錦帯橋をわたると、かつて武家屋敷があったという吉向(きっこう)公園。クスノキの大木。 

山頂まではロープウエイもありますが、歩いて登ることに。お寺が立ち並ぶ一角から奥へ。

山の中腹をゆっくり登っていきます。あいにく雨模様でしたが、一般車は通行しない舗装道なので森を見るにはわるくありません。

入口付近は「紅葉谷」と呼ばれる紅葉の名所。イロハモミジが目立ちました。

森の主役は常緑広葉樹。シロダモ、ヤブニッケイ。

タブノキ。展葉の時期です。

ホソバタブ。

歩く人はまばら。数百メートル歩いただけなのに、奥山に入った感があります。

ブナ科が多様。アラカシ。

シラカシ。

イチイガシ。

ツクバネガシ。

アカガシ。

スダジイ。

ツブラジイ。

シリブカガシ。

下界は霞のなか。

中低木の樹種も多様です。カナメモチ。

イヌビワ。

コバンモチ。

サカキ、ヒサカキ、モッコク。

ヤブツバキ、ナツツバキ。

クロキ、ミミズバイ。

アセビ、アオキ。

ネズミモチ、ソヨゴ。

モチノキ、クロガネモチ。

シイモチ。

ツゲモチ、ナナミノキ。

この山は国有林の自然休養林となっています。看板によれば、海岸性の植物が混交することも大きな特徴とのこと。

針葉樹は目立ちませんでした。カヤ。

落葉広葉樹は 展葉前/済みの樹種が入り混じっていました。ヤマザクラ。

ヤマウルシ、ハゼノキ。

クマノミズキ、タマミズキ。

エゴノキ、リョウブ。

ヤマツツジ。

コバノミツバツツジ、ネジキ、シャシャンボ。

ガマズミ。

タカノツメ。結構目立ちました。

コシアブラ、タラノキ。

クヌギ、コナラ。尾根上に現れました。これらを加え、出会ったどんぐりのなるブナ科は10種類(記録では13種あるのだそう)。

カゴノキ。こちらも山頂付近で出会いました。

標高250m、御館神と呼ばれる神地。ひっそり佇んでいました。

登ってきたのと反対側、尾根の北西斜面はヒノキの人工林になっていました。帯状複層林の見本林。「錦帯橋用材」に供する大径材育成を目指しているとのこと。

一方、隣には檜皮(ひわだ)の採取試験地。檜皮は、神社仏閣の屋根を葺く材料として8世紀から使われているのだそう。採取するとこんなに赤くなるとははじめて知りました。熟練者の採取だと、成長や材質への影響は大きくないとする報告があるようです。

最後にお城に到達。ここにはロープウェイでも来られるのですが、雨なので人はまばら。

他の登山道もあったものの、雨で道がわるいのでもとの道を下りました。わずかに霧がはれて、城下の様子 が行きよりはっきりと。

ナンテン、フジ。

3時間半あまり、錦帯橋に戻りました。山の中腹を振り返りましたが、お城のある稜線は依然として霧の中でした。