幌加内・坊主山
冬は森林散策が休みがちになりますが、2月の土曜日、職場の仲間に誘ってもらい、雨龍研究林(幌加内町)の最南端にある坊主山(標高743m)に登ってきました。道がない山ですが積雪期は最近人気があるようです。山頂付近の森林を訪れたいと思っていました。
朝、6名で集合。私はスキーもウェアも仕事の装備そのままで(行き先が研究林内ということもあり)休日感が少ないですが。。。山スキーに慣れたメンバーがいて、安心です。
出発点からは山頂は見えません。山頂から続く稜線付近には、針葉樹林と広い疎林が目立ちます。雨龍研究林の南部では見慣れた光景で、変成岩の一種である蛇紋岩が帯状に分布しているエリアになります。さしあたり、登っていくのは正面の広葉樹林の尾根。ここには針葉樹がとても少ないのが対照的です。
幸い、とても良い天気に恵まれました。広葉樹林に入っていきます。研究林の林班区分では、もっとも若いナンバー「101」が付いた山です。研究林の伐採履歴は残っていないのですが、里に近いのでおそらく開拓当初に薪炭利用があり、その後(最低50年程度は)手つかずな箇所と思われます。
ヤチダモ。ハリギリ。大径木は少ないものの、通直な木がそれなりに多く見られました。
シナノキと、それに混じってオオバボダイジュが見られました。実は、研究林内でオオバボダイジュはここ以外では確認されておらず、雨竜川流域では北限の生息域と言えるかもしれません。目立つ広葉樹としては、上に名を挙げたほか、ミズナラ、イタヤカエデ、ハルニレ、ホオノキ、キハダなど。
そして、ダケカンバ。標高とともに優占度が増していきました。
一方、この尾根には針葉樹はきわめて少なく、歩いた周囲で大きな木--すべてトドマツーーは数えられるほどと言ってもよい程度でした。
標高200mからスタートし、標高400mまでは急登。後半は写真を撮る余裕もなくなりましたが、、、ペースをゆっくりしてもらい何とか登りきりました。振り返ると、景色が開けてきました。
広く、緩くなった尾根上には小径木が帯状に育っていました。重機が走ってできた集材跡に見えますが、、、上述のとおり、この山には少なくとも近年は伐採履歴がありません。そもそも、下の斜面は重機が登れる傾斜ではなく、上からつながる道もありません。かつての薪炭利用の際の集材(馬搬?)跡がこのようになったのか、、、よくわかりません。
左前方には、上部の稜線も見えてきました。蛇紋岩地は貧栄養かつ重金属類を含むため、植物の生育が制限される立地です。アカエゾマツは、長寿命の葉と外生菌根菌によってこの条件に適応しているとされ、しばしば純林を形成します。また、蛇紋岩はもろくて崩れやすく、急斜面の箇所は崩壊した無立木地になっています。
標高550mで、南西からの尾根に合流。この標高になると、ダケカンバの優占度がさらに高くなりますが、意外とミズナラも多く混交していました。
標高600m。ここからが蛇紋岩域。山頂まで、植生も地形も一変し、アカエゾマツ林になりました。
実は、この登りの手前までは10年ほど前に仕事で来たことがありました。山頂に行くのはそのときからの念願でした。少し登ると、南に 幌加内の町が見えてきました。
アカエゾマツ以外の樹木はほとんどありません。立木の密度はとても低く、不均一に分布しています。樹齢は相当に高い(数百年の可能性?)と思われますが、記録がなくわかりません。
登り勾配がなかなかキツく、元気ある同行者にどんどん引き離されていきます。
先歩きしてもらった跡を、何とか付いて登ります。 アカエゾマツの樹高は、積雪下も含めて6ー8mほどに見えました。
なかなか見られない景観が広がっており、来た甲斐がありました。
登るにつれて、樹高が下がり、また、着氷の量が増えていきます。
山頂に到着! 標高差500m、3時間を要しました。
山頂から北側の風景。稜線に沿って延々とアカエゾマツ疎林が続いていました。 木のない雪原も相当な面積です。低い樹高のアカエゾマツが埋まっているのかもしれませんが、、、無雪期はササのため、ここに来て確認するのは相当にたいへんそうです。
昼食をとり、下山。この山、最近はスノーモービルで登ってくる人もいると聞きましたが、今日はとても静かでした。
往路を戻ります。皆の滑走スピードについていくのはなかなか困難でした。
帰りは1時間ほどで、あっという間に帰着。皆の助けがなければ到底登れなかったので、感謝するばかりです。
撮ってもらった写真。山頂直下、バテながら、倒れそうに歩いています。。。帰りに幌加内の町から山を見上げようと思ったのですが、曇ってしまい果たせませんでした。