実習「天然林で森林施業」2020

2020年09月25日

林業における現在の主要な生産対象は人工林材ですが、内装や家具に用いられる広葉樹を中心とした天然林材への需要が高まっています。この「天然林で森林施業」では、天然林資源を持続的に活用するために必要な研究を考えます。* この記事は北大フィールド科学センター森林実習ブログからの転載です

今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、日程を慎重に検討した結果、2020年9月23日~9月25日(2泊3日)の短縮開催としました。

札幌から、森林科学科の2年生が4名参加してくれました。短期のため、期間中はフィールドでの学習を優先して、研究計画の議論については、後日やり取りする形としました。

前泊後、2日目の午前は、雨龍研究林の原生的な森林を巡りました。4人とも、これまで野外実習にほとんど出られず、「本格的に山に入ったのは初めてだった」との声も。

アカエゾマツ湿地林。4人、それぞれの興味はさまざまで、議論がはずみます。 

午後は技術職員にお願いして、最近の更新施業地を回ってもらいました。ミズナラの樹冠下かき起こし地。

シラカンバが更新している様子。旭川周辺の方々と進めている「白樺プロジェクト」にも興味を持ってくれました。

間伐施工地の中にあったアカエゾマツの大径木。このあとアイヌの外洋船に使われた木です。

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翌日は、朝、中川研究林へ。私の主要な調査地のひとつである「照査法試験地」へ。膨大なデータから、どのような施業研究が可能か、議論しました。

次は、高齢のヤチダモ人工林へ。よい天気です。4人で話が盛り上がっていました。

その後、中川町に移動し、役場の高橋直樹さんにお話しいただきました。ミズナラの植栽地と、間伐後の天然更新の状況を観察。最後は町内の工房も見せていただきました。


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今回、ごく限られた時間で 、本格的な「トレーニング」にはできませんでしたが、それぞれ、後日、天然林における森林施業に関連して「自分が行いたい研究テーマ、その方法、結果の予想」をレポートにまとめ、議論を深めました。天然更新とその補助作業、シラカンバの生育・活用についての具体的な研究提案は、いずれも研究林で実現可能な内容でした。2月に中川研究林で行われる予定の「森林空間機能学演習」の発表テーマにつなげた学生もいました。

今後、ぜひ再度、研究林来てもらい、森林の施業や管理についてさらに学びを深めてほしいと思います。